新名所「パリロンドンブラジル」ってどんな場所?
湯田川の入り口から温泉街をまっすぐに進み、「ぱろす湯田川」のある角を曲がると何やらカラフルな暖簾と、「パリロンドンブラジル」と描かれた看板が見えてきます。じつはこの場所、2023年3月にオープンした食とアートをたのしめる観光スポットなんです!ここでは一体どんな体験ができるのか。誕生の背景とともに紹介していきます。
目印は、突如として現れるこちらの看板。
早速中に入ってみましょう!
パリロンドンブラジルで食をたのしむ
店内に入ると目の前にはカウンターがあり、手描きのメニュー表がずらり。
インド料理の「ビリヤニ」に中華料理の「焼売」など、ジャンルを越えた料理名が並んでいます。壁に書かれた「気分楽園」の文字がどんと主張し、自由な雰囲気ただようこの場所は、ボーダーレスに世界各国の料理をたのしめる多国籍料理店。湯田川温泉の中にこんな場所があったなんて驚きですよね。
さっそくおすすめされた「皿台湾」をオーダーしました。あつあつで提供された一皿は、湯気の中に香味野菜の香りが。ひと口食べると、もやしはシャキシャキ、麺はもちもちで食感がたのしく、肉味噌、もやし、ニラというシンプルな具材と麺がよく絡む。ピリッと効いた唐辛子がポイントに。
唐辛子の量はオーダー時に伝えればお好みに調節できます。辛いのが苦手な方は唐辛子抜きも可。
名古屋にある「人生餃子」という中華料理の人気メニュー「皿台湾」にインスパイアされ、開発された一品なんだそう。台湾ラーメンの汁なしバージョンというと想像がつく人も多いかもしれませんね。ランチタイムにはもちろん、ビールのお供としてもおすすめです。
中国の定番青島ビール。温泉街で飲むビールは格別ですよね!ビール以外にも、湯田川温泉の地酒や、オリジナル焼酎などアルコールメニューが豊富。
つづいていただくのは、バスマティライスをチキンとともに炊き込んだ「ビリヤニ」に、ナスと黒胡麻のカレーをあわせた「ビリヤニ ベイガンティルマサラ セット」。名前だけでは想像のつかない、そのお味は——?
意外なほどに、優しい味わいの一品でした。カレーに辛味はなく、香るスパイスの中にナスと黒胡麻の甘さが際立ちます。インドカレーに馴染みの薄い方は、珍しい組み合わせに感じるかもしれませんが、日本でもナスは夏野菜カレーの定番具材。合わないわけがありませんよね。
キャロットラペとレモンで爽やかに。ペロリと食べられる一品です。
黒いカレー。まるで宇宙のような見た目が美しい。
メニュー開発・調理を担当しているのは、你好 渉さん。一見寡黙な料理人といったイメージですが、ご安心ください。話しかけると優しく接してくれますよ。
你好 渉さん
「お客さまに「湯田川に寄ってよかった!」と思ってもらえるような、フードスペースを目指しています。こだわりは、生活に身近な食で人々を幸せにすることです。「パリロンドンブラジルでしか味わえない」を目標に日々試行錯誤しています。」
すっかりお腹も満たされたところで、まだ謎の多い「パリロンドンブラジル」をさらに深掘りしていきます。
パリロンドンブラジルで集う
「パリロンドンブラジル」の館長 村上 直人さんにお話しを伺いました。湯田川生まれの村上さんは、どんな思いでこの場所をつくったのでしょうか?
村上さん
「地域で長年愛されてきた蕎麦屋「末廣」の跡地を活用して「パリロンドンブラジル」を作りました。ここはかつて消防団などざまざまな会合で使われ、いつも人が集い、ワイワイ、ガヤガヤとやっていた場所。もう一度その頃の活気を取り戻したいと考え、同じ思いを持つ仲間たちと、自分たちの手で改装を進めていきました。やはり観光地には、人が集う場所が必要。湯田川温泉のコミュニティスペースとして育って欲しいなと思います。」
鶴岡市内からふらっと訪れランチをたのしむ方、お宿のチェックイン前後に昼間からお酒をたのしむ人、共同浴場の正面湯に入りにきたついでにお茶をしていく人など、さまざまな人が訪れるそう。オープンから半年以上が過ぎ、日々のお客さまとのやり取りや、イベントなどを通しての交流も生まれているといいます。
店内には過ごし方をそれぞれに委ねるような、大らかな雰囲気。温泉地に来てゆっくりできるお店があるのは嬉しいですよね。
そんなリラックスタイムにぴったりなドリンクとしておすすめなのが「ベトナムコーヒー」。銀色のコーヒーフィルターにお湯をそそぎ、ゆっくりと時間をかけて抽出します。コーヒーが落ちるのを待っている時間がなんとも良いのです。
お席で注いでくれるので、お話しをたのしめるのもポイント。
ぽたぽたと落ちてくるコーヒーを眺める。まるで瞑想のような時間。
完成!底に入った練乳を、好みの甘さになるように溶かしていただきます。
練乳をすべて混ぜると、甘くて癖になる。温泉に入った後に飲む、瓶のコーヒー牛乳を彷彿とさせるようなどこか懐かしい味わいです。もしかするとこれは「パリロンドンブラジル」の提案する、新しい入浴後の過ごし方なのかもしれません。
パリロンドンブラジルでアート鑑賞
さて、ここまで読んで「なんでこんなにカラフルな店内なんだろう?」と気になった方も多いのではないでしょうか?じつはこのお店全体が、鶴岡市在住のアーティストMao Simmonsのアート作品だというから驚きです。
つまり「パリロンドンブラジル」とは、アート作品の中で食事を楽しめる施設なのです。「なんだか不思議な場所だなぁ」と感じていた、この場所の全貌が明らかになりました。
「パリロンドンブラジル」をプロデュースするアーティストのMao Simmonsさん。
<Profile>
1983年 山形県鶴岡市生まれ。
2008年から東京で活動をはじめ、2020年に地元である山形県に拠点を移す。
平面、立体、問わずその時々の気分により、あらゆるツールを使い独自の技法で表現する。また、ライフワークとして毎日1枚ドクロを描いている。
Mao Simmonsさん
「「パリロンドンブラジル」という店名には、パリとロンドン、そしてここ日本とブラジルまで世界中を見渡す場所という意味が込められ、食にもアートにも多国籍な要素が詰まっています。湯田川温泉にいながら、世界を旅するような気持ちでたのしんでもらいたいです。」
「パリロンドンブラジル」の2階はアートギャラリーとして解放されています。Mao Simmonsさんの作品の他にも、地元の木工職人BORZOIさんの作品も販売され、旅の思い出として購入する方も多いのだとか。訪れた方はぜひ2階にもお立ち寄りください。外観からは予想もつかない空間が広がっていますよ。
メキシコを彷彿とさせる十字架のオブジェ。オリジナルTシャツも販売しています。
メキシコを彷彿とさせる十字架のオブジェ。オリジナルTシャツも販売しています。
正面湯に入るのに、タオルを忘れても大丈夫!オリジナルタオルも販売しているそうです。
「パリロンドンブラジル」は、食とアートをたのしめる他にはない観光スポット。ぜひ一度、訪れてみてはいかがでしょうか。
- ・投稿者の名前:
- 湯田川温泉観光協会
- ・プロフィール:
- 湯田川に住み、湯田川を愛している旅館の仲間たち
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