九兵衛旅館 / 別館 珠玉や
『九兵衛旅館』といえば、静かに過ごせるプライベートな空間と源泉掛け流しのお湯、そして料理の味に定評がある湯田川温泉きっての人気宿だ。全室13部屋の小さなお宿ながらも、メゾネットタイプやお風呂付きの客室もあり、ここでの滞在を目的として遠方から訪れる者も多い。単なる観光の拠点としての宿泊ではなく「この宿に泊まるために庄内を訪れる」という風に、目的地にする価値のある宿である。
湯田川温泉のメインストリートから少し中に入ったところにこじんまりと佇んでいて、隠れ家的なお宿という表現がぴったりな『九兵衛旅館』。実際に訪れるまではその口コミ点数や世評の高さを不思議に思うかもしれない。そこで、社長の大滝研一郎氏にお話しを伺いながら、その人気の秘密を紐解いてみたいと思う。
記録によると『九兵衛旅館』は、江戸時代の中期に創業され、温泉宿としては長い歴史がある。その旅館を継ぎ、現在の様式に作り変えたのが11代目の大滝社長だ。
大滝社長『平成15年のリニューアルの際に現在のスタイルになりました。それまでは、老人クラブやスポーツ団体、湯治客などの比較的低料金のお客様から、料金の高い一般個人客まで、客層が幅広い旅館でしたが、少子高齢化や人口減少、団体客の減少等により、将来的な時代の流れを見て、ご夫婦や少人数グループで過ごして頂くのに最適なプライベート重視の宿に変えることにしたんです。宴会場をなくして、個室のお食事処を作るなどの改修を行いました。
その数年前、平成10年頃だったと思いますが、現在の調理長を迎えて、従来の女将が腕を振るう手料理から和食調理人による料理の宿になりました。今でも手作りに拘り、地元の食材を出来立てでお召し上がりいただくことを重視しています。料理に合わせて地酒も楽しめるように庄内の18酒蔵のお酒を揃えたり、県内のワインと合わせて堪能して頂けるようご用意しています。調理長をはじめ、厨房スタッフみんなが頑張ってくれています。』
宿の女将や主人が作る素朴な料理を出す旅館から、料亭のような本格的なお食事が楽しめる旅館へ、そして団体向けから個人向けのプライベート重視の宿へ。こうした変化が現在の『九兵衛旅館』の高い評判に繋がったという。
大滝社長『どれだけ歴史があったとしても、それだけで残っていけるわけではない。世の中の流れに適応していくことが重要だと思います。これは宿泊業に限ったことではなく、世の中の仕事って全部そうですよね。』
滞在中の居心地の良さについて、お客様の感想は様々だ。
床は冬でも裸足で歩けるほど暖かく快適だ
浴衣でなく作務衣が用意されているのでゆっくり過ごすのに嬉しい
藤沢周平の図書コーナーがあり外に出なくても庄内の風土を感じた
お部屋にはブルーレイレコーダーがあって、ゆっくり過ごせる
貸切風呂は予約なしで空いていればいつでも利用出来るのも嬉しい
(館内にも貸し出し用のDVDが用意されている)
従業員の対応が良く、その丁寧さに驚いた 等々
ひとつひとつは小さなことでも、確かに居心地の良さに繋がっているような優しい配慮。『九兵衛旅館』の評価の高さは、そのスタイルや設備だけではなく、普通は見逃してしまうような小さなニーズにも気づいて変化を続けてきた積み重ねによるものなのかもしれない。
そして、忘れてはいけないのが『九兵衛旅館』の別館『珠玉や』の存在。本館に比べるとリーズナブルに宿泊することが出来、小さなお子連れも歓迎している。3つの貸切風呂が自慢の宿で『九兵衞旅館』とはまた異なるモダンな趣きがある。別館『珠玉や』があることで、更に幅広い層のファンが増えていくのだろう。
これを読んで『九兵衛旅館』そして別館『珠玉や』へ興味を持った方は、早めのご予約を。湯田川温泉を代表する人気宿。特別な日に、大切な人と過ごすのにはこれ以上にない温泉宿だ。
【湯田川温泉 九兵衛旅館 公式HP】http://www.kuheryokan.com
【九兵衛旅館 別館 珠玉や 公式HP】http://www.kuheryokan.com/tamaya/
- ・投稿者の名前:
- すずき まき
- ・プロフィール:
- 写真家。2020年、生まれ育った横浜市から鶴岡市にiターン移住。 温泉と猫をこよなく愛している。
- ・SNSやホームページへのリンク系:
- https://www.instagram.com/maki.suzu.ki/