藤沢周平記念館
鶴岡出身の作家である藤沢周平(1927-1997)。『蝉しぐれ』や『橋ものがたり』など人気作品の生みの親であり、時代小説、歴史小説、伝記、随筆、俳句など様々なジャンルを書いた文筆家である。そんな藤沢周平の作品を保存し、彼の生涯を紹介する『鶴岡市立藤沢周平記念館』は全国の文学好きに是非訪れて頂きたい観光スポットだ。藤沢文学の世界を通し、鶴岡・庄内の豊かな自然と歴史ある文化に触れてみてはいかがだろうか。
『藤沢周平記念館』は、かつて鶴ヶ岡城があった鶴岡公園の中に、みどり豊かな自然にかこまれて佇んでいる。その敷地内には東京の旧邸にあった庭木や屋根瓦、塀に使われていた大谷石などを配しており、ガラス張りの館内に入ると、窓の外の景色が美しく切り取られ、四季の移りかわりを眺めることができる。
【鶴岡公園の大きな鳥居を抜けると正面には荘内神社がある。その左手に位置するのが『藤沢周平記念館』】
通常、常設展示と企画展示が開催されており、常設展示は第1部〜3部で構成されている。<第1部 「藤沢文学」と鶴岡・庄内 / 第2部 「藤沢文学」の全て / 第3部 「作家・藤沢周平」の軌跡>なかでも、彼が多くの作品を執筆した自宅書斎を再現した展示は、今まさにペンを置いたところのような雰囲気で、藤沢氏が生きてそこにいるかのようにも感じられ、またどんな本を本棚に並べていたんだろうなどと興味深く見入ってしまう。企画展示はその時々に内容が異なるので、何度でも訪れたい。
【四季を感じる鶴岡公園の風景。春には桜、秋は紅葉が美しい。】
『藤沢周平記念館』の他にも、鶴岡市内の25カ所が『藤沢作品ゆかりの地』として選定されている。25カ所の中には、地元の人しか知らないような隠れた名所もあり、これを頼りに小説の舞台となった鶴岡の原風景をめぐるのもまた面白い。
【鶴岡市内25カ所に設置される案内板。写真は善宝寺のもの。】
ゆかりの地 第4番『花のあと-以登女お物語』に登場する湯治場として湯田川温泉も選定されている。彼が22歳で教職に就いた際に赴任したのが湯田川村立(現鶴岡市)湯田川中学校であったことや、湯田川の旅館を定宿として利用していたこと、人気作品である『たそがれ清兵衛』の映画ロケ地として湯田川温泉の由佐売神社(ゆずさめじんじゃ)が使用されるなど関わりも深い。湯田川温泉に宿泊し、藤沢周平の世界に浸る文学旅もここにしかない楽しみ方のひとつだ。
- ・投稿者の名前:
- すずき まき
- ・プロフィール:
- 写真家。2020年、生まれ育った横浜市から鶴岡市にiターン移住。 温泉と猫をこよなく愛している。
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