- 2024.01.26
- 北沢 正和さんを講師に迎え、研修を行いました。
- 湯田川という地域において「食」をどのように捉え、今度、子どもたちにどんなものを残すことができるのか。また、観光客のみなさまへ、どのような価値を提供し、何を伝えていけば良いのか? こうした大きな問いについて、向き合わなければいけない時期になってきたのかもしれません。ひとつの物差しを得るきっかけとして、湯田川温泉旅行協同組合では、八ヶ岳山麓の山里で蕎麦と創作料理の店「職人館」を営む北沢 正和さんを講師に迎え、研修を行いました。 ⚫︎講師紹介 北沢 正和さん 佐久市で公務員として20余年勤務後、1992年八ヶ岳山麓の山里で古民家を再生し、蕎麦と創作料理の店「職人館」を開館。地場産食材と職人技を融合した農家レストランの草分け的存在。2010年農林水産省第1回「料理マスターズ」では全国7人の料理人受賞の一人に選ばれる。 ⚫︎研修について 研修の目的は、地域住民と外部の方が交わる中で、新しい何かにつなげていくアイディアを得ること。対象者は、各旅館の調理担当者をはじめ、近隣でお店を営む方や、地域のお母さんたちです。 料理に対する考え方を学ぶ座学のほか、実技研修と実食を含むワークショップ形式で開催しました。司会は、この地域で食にまつわるコーディネートを手がける小野 愛美さん。北沢先生は親しみやすい人柄で、ざっくばらんにお話ししてくださいました。 「採れたての野菜は、手を加えすぎず、シンプルにいただく。」 畑や野にある採れたての野菜は、自然の恵みが詰まっている状態。「食べ物は、丸ごと食べる方がいい」というのが、北沢先生の教えです。野菜は、葉や皮や根など、全部があって生きている。全体を食べることで、食べ物の命をそのままいただく。これは、「一物全体食(いちぶつぜんたいしょく)」という考え方です。 現代の調理法は、食材に包丁を細かく入れることで酸化させ、皮をむき水にさらすことで、土という料理人が与えた恵みを水の中に逃してしまう。それだけでなく、実際は食べられる部分を多く捨ててしまっているかもしれません。 だからこそ、食材と向き合う時には、食材の気持ちを考えることが大切。わたしたちが食材を見るとき、食材もまたこちらを見ている。「何度も包丁を入れたら痛いだろうか」「どんな料理になりたがっているのか」と、食材を命あるものとして関心をもち、愛着を持って接することがおいしい料理づくりに繋がるといいます。実際に、素材の旨味を味わえるシンプルな調理法を紹介してくれました。 在来野菜の藤沢かぶや、孟宗(たけのこ)の水煮など、湯田川にある食材をつかって、いくつかの料理を即興で仕上げてくださいました。日本に古来からある基本の調味料「塩」にこだわり、白砂糖を使わず、野菜の甘みを生かして仕上げます。 湯田川の旬の食材を用意しました。 北沢先生が持参した乾燥きのこと、たけのこの水煮でつくるスープ。味付けは塩だけ。 通常捨ててしまう孟宗の皮を、蒸すために使用。北沢先生ならではの発想です。 藤沢かぶと孟宗の蒸し焼き。藤沢かぶは、葉や根、皮をそのままに。 彩りがきれいな、庄内柿をつかった酢の物。 試食タイム。どのお料理も、素材の旨みがつよく感じられます。 大根に、湯田川地区で採れたかぼすを添えて。 味わいの感想を話しながら、旅館のお料理に取り入れるアイディアを出し合いました。 湯田川という地域をどう見るか? 北沢先生は「地域格」という考え方についてもお話ししてくださいました。 食材ごとに味わいが異なるように、人間にはそれぞれの人格があり、地域にもまた性格がある。湯田川という地域ひとつにも、多様な人が暮らしていて、それぞれ得意・不得意がある。さまざまな役割の人が集まってひとつの「地域格」、つまりその土地の特徴になるという考え方です。 湯田川温泉は観光地としての側面の他にも、住宅地としての側面があり、そこにはさまざまな職に従事する方々が暮らしています。「食材」をどう生かすかで料理の味が決まるように、ここに暮らす人々が力を合わせることで「地域」のあり方が決まる。「人」に重きをおき、それぞれの得意分野を生かし関わっていくことが地域の価値となることを学びました。 この貴重な機会を、今後の地域づくりに繋げてまいります。
- 2023.11.08
- 湯田川温泉『いい風呂の日』 温泉モニター募集
- 【モニター期間】 11月26日(日)〜11月29日(水)の4日間 「湯田川の温泉の良さを知っていただきたい」 この想いを元にいい風呂の日を記念して 旅館のお風呂で温泉を体験していただきます♨️ 日替わりで温泉を提供する旅館が変わります。 皆さんの応募をお待ちしております 【申込方法】 観光協会インスタグラムDM、またはyutagawakanko@gmail.comにて *お電話ではお受けできませんのでご了承ください。 11月25日まで 受け付けます お名前、希望日、希望時間帯、人数 連絡先を明記の上メールください 当選者には随時にご連絡差し上げます 【応募条件】 キャンペーン中入浴されたすべての方に温泉に関するアンケートにお答え頂きます。 【入浴注意時項】 1. 先着順で旅館の割り振りをさせていただきます。 2. 小タオルは進呈いたします(バスタオル利用時有料)。 3. 各組ご利用1時間とさせて頂きます。 利用可能時間は以下の通りになります。 《11月26日》 「対象施設」つかさや、理太夫、隼人 *定員に達しました。 《11月27日》 「対象施設」つかさや、理太夫、隼人 ①11時~12時 ②12時~13時 ③13時~14時× ④14時~15時× 《11月28日》 「対象施設」九兵衛、珠玉や、ますや ①12時~13時 ②13時~14時 ③14時~15時 ④15時~16時 《11月29日》 「対象施設」九兵衛、珠玉や、ますや ①11時~12時 ②12時~13時 ③13時~14時 ④14時~15時 この機会に是非湯田川の 旅館のお風呂をお楽しみくださいませ♨️😌 ===================== ようこそ湯田川温泉へ𓂃𐩲◍ 山形県鶴岡市 開湯1300年 あなたの旅をそっと支える 温泉地でありたい いいね!フォロー大歓迎! 皆様のお越しを心^_^なよりお待ちしております! Please follow @yutagawa_onsen ====================
- 2023.01.30
- 温泉の恵みを味わう、2種の日本酒が誕生しました!
- 湯田川温泉では、今季「湯田川のお米で、日本酒を造る」という新しい取り組みに挑戦しました。 それは湯田川温泉のお湯で「芽出し」され、湯田川の地で育まれた「芽出し米」を使用して、オリジナルの日本酒を造るというプロジェクト。日本酒を通してより多くの方に湯田川温泉を知ってもらいたいという思いから、さまざまな分野のプロフェッショナルとともに「湯田川らしい日本酒とは何か?」という対話を重ね、開発を進めてきました。 そんなこだわりの詰まった日本酒が、とうとう2月13日にリリースされます。 プロジェクトの発起人 湯田川温泉 つかさや旅館 庄司 丈彦 『このプロジェクトを通して湯田川温泉の歴史や、特性を伝えるきっかけをつくりたいと思いました。湯田川温泉には、源泉に浸してお米を発芽させる「芽出し」という文化があります。この「芽出し」をしたお米をつかって何か出来ることはないかと考え、思いついたのが日本酒というアイディアでした。 お酒にすることで、旅館のお食事とあわせて楽しめるのは勿論、地域の飲食店や、お土産のひとつとして商店でも展開できる。お米のまま提供するよりも、ひと手間加えた方が地域全体で消費できると考えました。お酒が飲めない方に向け、今後、米粉のお菓子などをつくることも検討しています。 こうした活動を通して、湯田川温泉の歴史をたくさんの方に知ってもらいたいです。湯田川の恵みがぎゅっと詰まった日本酒を、ぜひ飲みに来てください。』 「女神のしずく」と「乳イチョウ」 鶴岡市大山地区で400余年の間「温故知新・不易流行」を掲げながら真摯に日本酒の酒づくりをしてきた「渡會本店」の協力のもと、純米大吟醸・純米の2種類が誕生しました。 「女神のしずく」 華やかな吟醸香と、優しい甘みが特徴の純米大吟醸。 「乳イチョウ」 しっかりとしたコク、シュッとしたキレのある生酛づくりの純米酒。 ラベルに込めたメッセージ デザイン:吉野敏充デザイン事務所 『白鷺が羽ばたき、湯に落とした米一粒。その一粒が土地を豊かにし、地には熱を、土地に暮らす人には生きる力を与える様子をラベルにデザインしました。また白鷺が羽ばたく様子は由豆佐売神社の県指定天然記念物の「乳いちょう」も模してあり、その姿は母のように偉大で優しく温かく、訪れる人々を受け入れてくれる形をしています。』 湯田川温泉を紐解くキーワード 羽ばたく「白鷺」 湯田川温泉は和銅5年(712)手負の一羽の白鷺が湿原の中に湧く湯坪で湯浴みをし、傷を癒していた事から「白鷺の湯」と称され、古くから人々に親しまれてきた。 湯に落とした米一粒「芽出し」 湯田川では毎年4月に温泉のお湯を活用した種籾の芽出しが行われます。稲の種籾から芽を出させる作業を「芽出し」と言い、余り湯の温度は種籾の発芽に最適とのこと。温泉を産湯にして生まれた種は苗となり、田んぼに植えられ、春から秋にかけての湯田川の景色となります。 由豆佐売神社の県指定天然記念物「乳いちょう」 泉源の女神である溝樴姫命(ミゾクイノヒメノミコト)を祀る社。湯田川温泉の守り神として創建。延喜5年(905)起草の「延喜式神名帳」にも名前の載る格式の高い神社です。神社へ続く参道には、古くから妊婦の乳の出を願う信仰の対象になっていた県指定天然記念物「乳イチョウ」があり、その姿は神社とはまた違う空気を感じられます。 販売について 湯田川温泉の各旅館・飲食店・商店で2023年2月13日以降に購入可能。 (2月5日鶴岡銀座商店街特設会場で開催される寒鱈まつりにて先行発売予定) ご予約・取材等のお問い合わせは、プロジェクトリーダー 庄司までお願いいたします。<TEL 0235-35-2301>
- 2023.01.14
- 湯田川の未来を語り合う会
- 『湯田川の未来を語り合う会』は湯田川がもっと素敵で楽しく住みやすい町になることを目指す、湯田川住民会有志と東北芸術工科大学コミュニティデザイン学科 湯田川スタジオによる協働プロジェクトです。現在は、湯田川樹木園〜由豆佐売神社一体で「みんなでつくる樹木園」プロジェクトを展開中。 湯田川スタジオは、一体どんな団体で、どのような活動を行っているのか?そして現在取り組んでいるプロジェクトの内容について、東北芸術工科大学コミュニティデザイン学科2年の板垣 美里さんに伺いました。 Q「湯田川スタジオ」について教えてください。 私たちは東北芸術工科大学コミュニティデザイン学科の学生です。スタジオ活動という授業の一環で2年生の前期から3年生の中期まで、湯田川地区でフィールドワークを行い、イベントを企画・開催しています。湯田川がもっと素敵で楽しく、住みやすい町になることを目指して、湯田川の魅力や困りごとについて話し合うなどの活動を2021年6月からはじめ、私たちで2期目となります。住民の方々とコミュニケーションをとりながら”よそ者である学生と取り組むからこそ出来ること”に挑戦しています。 12月、湯田川地区のコミュニティセンターで行われた会議の様子。 湯田川住民会有志とともに、イベントの企画を進めていく。 Q どのような活動を行っているのでしょうか。 毎月第2金曜日に湯田川地区でワークショップ・第4日曜日にイベントを開催しています。具体的には、由豆佐売神社と、そのすぐ脇にある樹木園をフィールドに「みんなでつくる樹木園」プロジェクトを展開しています。 湯田川といえば温泉地のイメージですが、実は温泉以外にもさまざまな資源が眠っていて、樹木園もそのひとつ。由豆佐売神社をふくめた樹木園の自然や歴史、文化を、整える・つくる・あそぶ・親しむ・知る・守る の6つの観点で次世代に受け継いでいきたいと考えています。 「竹細工」について、住民会有志に相談中。 将来的には、その地域固有の自然、歴史、文化などを野外で直接体験したり学習したりできる「フィールドミュージアム」となることを目指しています。「フィールドミュージアム」とは、地域全体が学びの場所となり、資料となるイメージ。町に訪れることで、博物館へ行ったときのようにわくわくしたり、発見があったり。より多くの人に知ってもらい、親しみをもてる場所にすることが目標です。 Q「みんなでつくる樹木園」プロジェクトとは何ですか? 「みんなでつくる樹木園」は3つの軸からなるプロジェクトです。 1つめは、のんびり歩ける樹木園づくりを目指す「整備サークル」。子どもや女性、観光客も歩きやすく気軽に利用できるように、湯田川樹木園の整備・清掃をします。 2つめは、親子で行きたい樹木園づくりを目指す「親子サークル」。親子にとって樹木園が思い出になるように、樹木園を使ってみんなでわいわい楽しい遊びをします。 そして3つめは、未来へつなげる樹木園づくりを行う、「樹木サークル」。樹木園の植物を使った工作や動植物調査を行い、樹木園に親しみを持ってもらうことを目指します。 「整備サークル」では、森を整えるために継続的な園内整備を続けつつ、段階を踏んで進めてきました。まずは不必要なものを取り除き、利用しやすい環境を整えていきました。具体的には、各所にあるベンチの苔を落とす、増えすぎた笹の除去、古い樹木プレートの除去、枯れている木の伐採などに住民会有志の方々と一緒に取り組みました。 伐採した竹で幻想的な竹灯籠をつくった。 Q その中でも、特に印象に残っている出来事はありますか? 11月に「整備サークル」の一環として行った由豆佐売神社の大掃除が特に印象に残っています。本殿までの階段の掃き掃除や、拝殿にある不用品の運び出しを行い、細かいところまでピカピカになりました。由豆佐売神社は湯田川地域に暮らす人々にとって、とても重要な存在。住民会の方々がひとつひとつを大切に扱う様子や、綺麗になって喜ぶ姿から「地元の人に愛されている場所だな」と伝わってきて…。外から来た私たちの活動を受け入れてもらえたことが本当に嬉しくて、やっていてよかったなと思う瞬間でした。 Q 今後の活動について教えてください。 2月の「親子サークル」では、湯田川神楽を見て学び、体験する活動を計画しています。ひとりでも多くの方に、湯田川神楽に興味関心を持ってもらえるよう、紙芝居やお面づくりを通して楽しい思い出になるような時間をつくれたらと湯田川住民会有志の方々に相談しながら絶賛準備中!実際に神楽の上演を見た後、オリジナルのひょっとこのお面や、箸置きをつくる予定です。 ひょっとこのお面 2月のイベントに向けた準備を進めているところ。 また「樹木サークル」では、樹木プレートの設置を計画しています。ただ樹木の名前を書くだけではなく、例えばプレートの形にこだわる、紅葉の時期を記載するなど、子どもたちが樹木園に遊びにいきたくなるような、好奇心をくすぐる樹木プレートをつくりたいと計画中。樹木園に訪れる野生動物のプレートや、植物のクイズを書いたプレートを設置する案もあります。さらに親しみやすい樹木園を目指して取り組んでいきます。 楽しそうに語る板垣さん。ワクワクが伝わってきます! 湯田川住民会と、「湯田川スタジオ」の若い力が合わさって、今まさに新しい取り組みが進んでいます。
- 2022.12.31
- モニター体験会冬〜報告コラム〜
- 秋。黄金色に輝く穂を刈り上げ、天日に干し、人の手で脱穀され仕上がった、お米と稲わら。そしてこの冬、湯田川温泉旅館協同組合では次なるプロジェクトがスタートしています。それは、湯田川の温泉で芽出しされたお米を使った日本酒の醸造。12月中旬、秋にも実施したモニター体験会の第2弾を開催しました。 ちらちらと雪の舞う日、参加者の皆さんにお集まりいただいたのは、湯田川温泉“芽出し米”を使った酒造りを委託している、鶴岡市大山で400年以上の歴史ある酒造「渡曾本店」。大山は最盛期には50軒を超える酒蔵が軒を連ね、「東の灘」と称されるほど酒造りで栄えた街です。 モニター体験会は、普段一般の方は立ち入ることのできない酒蔵の醸造工程の見学から始まりました。お酒に使われるお米は、食事用のご飯と違い、炊かれるのではなく蒸しあげられます。大きな蒸し釜から、かじかむほど冷えた冬の空気に、もくもくと湯気が立ちあがります。蒸しあがったお米は41~42度程度に冷やされ、麴室(こうじむろ)へと移されます。この麴室で種麴をふりかけ、52~56時間かけてお米のでんぷんを糖化させ、麴が完成します。この日は、生成途中の麴も特別に味見させていただきました。 麴は完成間近なものほど舌でその違いを感じるほど甘く、干し米のよう。参加者の皆さんも初めての体験に、「日本酒の甘い、辛いは温度管理によるものなのか?」など聞いてみたいことがたくさん。実際の現場を体験しながら杜氏さんへ直接質問できるなんて、酒好きにはたまりません。次は、この麴と蒸し米、水から酒母といわれる酵母を作るもとになるものを培養する様子を見学。 通常多くは乳酸を添加して1週間~10日程で酒母を育成する速醸(そくじょう)という方法が使われますが、今回湯田川温泉“芽出し米”で作るお酒は、自然にある乳酸菌の発酵を促して酒母を育成する生酛(きもと)造りで行われています。この方法は酒母が出来上がるまでに3週間ほども時間を要すると伺い、益々期待が高まります。そして、ここで造られた酒母を仕込みタンクへと移し、麴と7~8度まで冷やしたお米を3回に分けて入れていきます。 もう仕込み部屋は日本酒のフルーティーな芳香がしてきて、普段日本酒を飲まないという女性の方々もあまりの良い香りに、「今晩はちょっと飲んでみようかな」と。こうして酵母(糖)がアルコールへ変わり、日本酒となっていく様子を見学し、目の前で瓶詰めされた出来立てほやほやのフレッシュな日本酒を、今晩の夕食の席へお持ち帰り。最後には絞られた後の酒粕も見せていただき、酒蔵の体験ツアーは終了しました。 続いて向かったのは、こちらも大山にあり北前船で栄えた「善宝寺」でのご祈禱体験。「善宝寺」は龍神様をお祀りしたお寺で、海の生き物を供養するための五重塔があることから、漁師や海に関わる仕事の方の信仰を集めていることで有名なお寺です。 このご祈禱、ちょっと他とは違います。太鼓が打ち鳴らされ、15名を超える僧侶が一斉に読経を唱えながら、経典を次々にめくるさまは、まさにエンターテインメント。不謹慎かも…と思いながら、ついつい互いに「面白かったね」と言ってしまいます(笑) 冷え切った身体を芯から温める昼食は、何と言っても中華そばでしょう! 訪れたのは、鶴岡市 三瀬にある中華そば処「琴平荘」。湾状の海岸線の隣に建つ「琴平荘」は、もともと旅館を営んでいて、海水浴の閑散期にラーメンを提供し始めたのがはじまりなのだとか。2002年に中華そばの提供をスタートすると、たちまち大人気となり、県内外から人が訪れる名店に。あまりの評判で、現在は旅館を廃業し、毎年10月から翌年5月まで、約半年間の期間限定で開くラーメン店として、県内外問わずたくさんの人に愛されています。 日本海を望みながら、温かいラーメンをいただく。きっと最高の時間になるだろうと期待を胸に車から降りると、なかなか前に進めない…!?そう、冬の日本海は強風注意!風で前に進めないというのは、滅多にない経験かもしれません。夏には青くキラキラと輝く海が、真っ白に。 岩に波が激しくぶつかった際に生まれる「波の花」という白い泡は、極寒の海の風物詩です。 中華そばは「あっさり」か「こってり」の好みを選べるのが嬉しいところ。注文してほどなく、熱々の中華そばが目の前に!スープは鶏ガラベースに、魚介の旨味がきいたどこか懐かしさを感じる味わい。ツヤツヤもちもちの中太縮れ麺が澄んだスープとよく合います。ひと口いただくと優しいスープが冷え切った身体に沁みわたっていくよう。寒い冬にぴったりな、至福の一杯をいただきました。 手指も温まり、お腹もいっぱいになったところで、午後からは秋に刈った稲わらを使ったしめ縄づくり体験です。今回は参加者全員で1本のしめ縄を作り、湯田川温泉の守り神“由豆佐売神社”の大イチョウに奉納します。由豆佐売神社は、芽出しにも使われる温泉の泉源となる女神を祀る神社。その温泉によって芽が出て、たくさんの実りを与えてくださったことに感謝を込めて、しめ縄を奉納し、また来年の豊作を祈ります。早速わら細工の先生にご指導いただきながら、縄をなっていきます。 はじめに藁を柔らかくするために、(今回は)ビール瓶を使い叩いていくのですが、一斉に叩く様子が可笑しくて、自然と参加者同士の距離も縮まります。スタッフも含めた12名中10名が縄ない初挑戦という、ちょっと不安なスタートでしたが、お互いに教えあい、コツをつかんだ時には歓喜しながら、手を動かすこと1時間半!一人一人が作った縄をつなぎ合わせると、立派なしめ縄が完成しました! そしてお待ちかねの日本酒を楽しむ夕食会。一品一品、地元の食材と鶴岡ならではの郷土料理を味わいながら、午前中、直に瓶詰めされる様子を見てきた日本酒に杯を傾ける、他では決してできない体験です。先程まで一緒にしめ縄を作っていた一体感もあり、参加者同士も見知った仲のように和やかなひと時でした。 その宴を締めくくるのが、湯田川温泉に江戸時代から続く道化かぐら“湯田川温泉神楽”です。軽快なお囃子にのって出てきた獅子が、まるで生きているかのように踊り舞い、しまいには、どうなっているのかビールの一気飲みまで披露して客席は大盛り上がり。そこへやってきた“ちょんべ“とよばれるひょっとこが、また驚くほど表情豊かに獅子へいたずらを仕掛けては、追いかけられ、客席まで巻き込んでひと騒動を繰り広げます。誰もがこんな神楽、今まで見たことがありません(笑)この神楽は例年、土用の丑の日に行われる「温泉清浄祭」でお披露目されている由緒ある神楽。 湯田川温泉の時間軸には、温泉とお米とそれを祀る文化が流れています。この度のモニター体験会では、その一部を体験いただきました。春。4月に入ると、また新しいお米の種が温泉を産湯にして芽を出します。こうしてご参加いただいた皆様が、第二の故郷のように、湯田川の時間の流れに会いに来て下さる、そんな体験を届けたいと思います。