- 2023.12.22
- 新名所「パリロンドンブラジル」ってどんな場所?
- 湯田川の入り口から温泉街をまっすぐに進み、「ぱろす湯田川」のある角を曲がると何やらカラフルな暖簾と、「パリロンドンブラジル」と描かれた看板が見えてきます。じつはこの場所、2023年3月にオープンした食とアートをたのしめる観光スポットなんです!ここでは一体どんな体験ができるのか。誕生の背景とともに紹介していきます。 目印は、突如として現れるこちらの看板。 早速中に入ってみましょう! パリロンドンブラジルで食をたのしむ 店内に入ると目の前にはカウンターがあり、手描きのメニュー表がずらり。 インド料理の「ビリヤニ」に中華料理の「焼売」など、ジャンルを越えた料理名が並んでいます。壁に書かれた「気分楽園」の文字がどんと主張し、自由な雰囲気ただようこの場所は、ボーダーレスに世界各国の料理をたのしめる多国籍料理店。湯田川温泉の中にこんな場所があったなんて驚きですよね。 さっそくおすすめされた「皿台湾」をオーダーしました。あつあつで提供された一皿は、湯気の中に香味野菜の香りが。ひと口食べると、もやしはシャキシャキ、麺はもちもちで食感がたのしく、肉味噌、もやし、ニラというシンプルな具材と麺がよく絡む。ピリッと効いた唐辛子がポイントに。 唐辛子の量はオーダー時に伝えればお好みに調節できます。辛いのが苦手な方は唐辛子抜きも可。 名古屋にある「人生餃子」という中華料理の人気メニュー「皿台湾」にインスパイアされ、開発された一品なんだそう。台湾ラーメンの汁なしバージョンというと想像がつく人も多いかもしれませんね。ランチタイムにはもちろん、ビールのお供としてもおすすめです。 中国の定番青島ビール。温泉街で飲むビールは格別ですよね!ビール以外にも、湯田川温泉の地酒や、オリジナル焼酎などアルコールメニューが豊富。 つづいていただくのは、バスマティライスをチキンとともに炊き込んだ「ビリヤニ」に、ナスと黒胡麻のカレーをあわせた「ビリヤニ ベイガンティルマサラ セット」。名前だけでは想像のつかない、そのお味は——? 意外なほどに、優しい味わいの一品でした。カレーに辛味はなく、香るスパイスの中にナスと黒胡麻の甘さが際立ちます。インドカレーに馴染みの薄い方は、珍しい組み合わせに感じるかもしれませんが、日本でもナスは夏野菜カレーの定番具材。合わないわけがありませんよね。 キャロットラペとレモンで爽やかに。ペロリと食べられる一品です。 黒いカレー。まるで宇宙のような見た目が美しい。 メニュー開発・調理を担当しているのは、你好 渉さん。一見寡黙な料理人といったイメージですが、ご安心ください。話しかけると優しく接してくれますよ。 你好 渉さん 「お客さまに「湯田川に寄ってよかった!」と思ってもらえるような、フードスペースを目指しています。こだわりは、生活に身近な食で人々を幸せにすることです。「パリロンドンブラジルでしか味わえない」を目標に日々試行錯誤しています。」 すっかりお腹も満たされたところで、まだ謎の多い「パリロンドンブラジル」をさらに深掘りしていきます。 パリロンドンブラジルで集う 「パリロンドンブラジル」の館長 村上 直人さんにお話しを伺いました。湯田川生まれの村上さんは、どんな思いでこの場所をつくったのでしょうか? 村上さん 「地域で長年愛されてきた蕎麦屋「末廣」の跡地を活用して「パリロンドンブラジル」を作りました。ここはかつて消防団などざまざまな会合で使われ、いつも人が集い、ワイワイ、ガヤガヤとやっていた場所。もう一度その頃の活気を取り戻したいと考え、同じ思いを持つ仲間たちと、自分たちの手で改装を進めていきました。やはり観光地には、人が集う場所が必要。湯田川温泉のコミュニティスペースとして育って欲しいなと思います。」 鶴岡市内からふらっと訪れランチをたのしむ方、お宿のチェックイン前後に昼間からお酒をたのしむ人、共同浴場の正面湯に入りにきたついでにお茶をしていく人など、さまざまな人が訪れるそう。オープンから半年以上が過ぎ、日々のお客さまとのやり取りや、イベントなどを通しての交流も生まれているといいます。 店内には過ごし方をそれぞれに委ねるような、大らかな雰囲気。温泉地に来てゆっくりできるお店があるのは嬉しいですよね。 そんなリラックスタイムにぴったりなドリンクとしておすすめなのが「ベトナムコーヒー」。銀色のコーヒーフィルターにお湯をそそぎ、ゆっくりと時間をかけて抽出します。コーヒーが落ちるのを待っている時間がなんとも良いのです。 お席で注いでくれるので、お話しをたのしめるのもポイント。 ぽたぽたと落ちてくるコーヒーを眺める。まるで瞑想のような時間。 完成!底に入った練乳を、好みの甘さになるように溶かしていただきます。 練乳をすべて混ぜると、甘くて癖になる。温泉に入った後に飲む、瓶のコーヒー牛乳を彷彿とさせるようなどこか懐かしい味わいです。もしかするとこれは「パリロンドンブラジル」の提案する、新しい入浴後の過ごし方なのかもしれません。 パリロンドンブラジルでアート鑑賞 さて、ここまで読んで「なんでこんなにカラフルな店内なんだろう?」と気になった方も多いのではないでしょうか?じつはこのお店全体が、鶴岡市在住のアーティストMao Simmonsのアート作品だというから驚きです。 つまり「パリロンドンブラジル」とは、アート作品の中で食事を楽しめる施設なのです。「なんだか不思議な場所だなぁ」と感じていた、この場所の全貌が明らかになりました。 「パリロンドンブラジル」をプロデュースするアーティストのMao Simmonsさん。 <Profile> 1983年 山形県鶴岡市生まれ。 2008年から東京で活動をはじめ、2020年に地元である山形県に拠点を移す。 平面、立体、問わずその時々の気分により、あらゆるツールを使い独自の技法で表現する。また、ライフワークとして毎日1枚ドクロを描いている。 Mao Simmonsさん 「「パリロンドンブラジル」という店名には、パリとロンドン、そしてここ日本とブラジルまで世界中を見渡す場所という意味が込められ、食にもアートにも多国籍な要素が詰まっています。湯田川温泉にいながら、世界を旅するような気持ちでたのしんでもらいたいです。」 「パリロンドンブラジル」の2階はアートギャラリーとして解放されています。Mao Simmonsさんの作品の他にも、地元の木工職人BORZOIさんの作品も販売され、旅の思い出として購入する方も多いのだとか。訪れた方はぜひ2階にもお立ち寄りください。外観からは予想もつかない空間が広がっていますよ。 メキシコを彷彿とさせる十字架のオブジェ。オリジナルTシャツも販売しています。 メキシコを彷彿とさせる十字架のオブジェ。オリジナルTシャツも販売しています。 正面湯に入るのに、タオルを忘れても大丈夫!オリジナルタオルも販売しているそうです。 「パリロンドンブラジル」は、食とアートをたのしめる他にはない観光スポット。ぜひ一度、訪れてみてはいかがでしょうか。
- 2023.11.25
- 旅と旅情
- 開湯1300年と歴史の深い湯田川温泉は、古くは湯治場として2月から3月にかけて、多くのお客様がお出でになっていたそうな。 つかさや旅館の女将さんが嫁いできた40年ほど前も、まだ湯治文化は健在で、この季節は常時満室、20~30名程のお客様が泊まっていたそうだ。 毎年同じ湯治客らで賑わい、そうこうするうちにお客さん同士も仲良くなって、「また来年!」と言って帰ってゆく、そんな人と湯の温もりと活気に満ちた真冬の湯田川温泉が目に浮かぶ。 湯治の心得では7日間の逗留を一廻りとし、江戸中期の文献には二廻り(14日間)の逗留が良いとも記されている。 そのため、大抵のお客様は二廻り同じ宿に宿泊し、15日目にお帰りになるのだとお聞きした。 そうなると、食いしん坊の私が気になるのは食事事情! そうでなくても真冬は1年で最も食材の少ない季節。 日本海は連日大時化が続く。 にも関わらず、大勢のお客様を相手に朝に夕に食事を出すのは至難の業だ。 「当時は冷凍などの保存技術も今ほど発達してなかったからね。 山菜の塩漬けやぜんまいなどを乾燥させたもの、キノコの塩蔵もの、そうやって採れる時期に保存させたものを使ってね。 滞在中は同じ料理を出さないように、1つの食材でも酢の物にしたり、お浸しにしたり、和え物にしたり。 秋になると大根を何本も漬けてたくあん漬けを作ったり、秋鮭の粕漬けも一冬分漬け込んだりしていたよ」 と、女将さんが懐かしそうに語ってくれた。 湯田川名物の孟宗筍も、今では缶詰で保存できるが、当時は塩もみをして干して、また塩もみして…を繰り返して保存したものを、使う時には塩抜きをして油炒めなどに使っていたのだそうだ。 わらびの色出しから塩蔵の塩抜きなどは、先代の女将さんの教えで受け継いだ技。 秋鮭の粕漬けは、粕と砂糖と塩だけと至ってシンプルな味付けながら、ギュッと味の濃縮した、白いご飯もお酒も進む冬の「つかさや旅館」定番の味だ。 「あとは木賃(きちん)湯治と言って、お客さんが卵やら米やらを持ってきて、『茶碗蒸しにしてくれ』と言われれば茶碗蒸しにして、由良の魚の行商から魚を買って、『刺身にして』と言われれば、そのように調理してあげたりね。」 と、今は制度上見ることは出来なくなったが、湯治ならではの面白い食文化も聞かせてくれた。 なんと驚いたことに、はじめの2~3日は朝昼晩と昼食の賄いもしており、これが4~5日目となってくると、段々とお湯が効いてきて、あちこち痛くなってくるから食欲も減退し、そこを越えるとスッキリとしてお帰りになるのだそうだ。 お正月も、旅館業は繁忙期。宿で年を越すお客様も多くいらっしゃる。 クリスマスが過ぎると、お正月のご馳走づくりに女将さんは大忙しだ。 ≪つかさや旅館の正月ごっつぉ≫ ・はりはり大根 ・お煮しめ ・きんぴらごぼう ・昆布巻き ・ぜんまいの炒りもの ・煮豆 ・栗きんとん ・数の子 ・納豆汁 ・お雑煮 ある朝、若い女の子たちのグループが「わぁ、懐かし~‼」と朝食を食べる風景に遭遇し、なんとも心嬉しくなったという。 「郷土料理を受け継ぎ守っていくのも旅館の役割。」と晴れやかに言い切るつかさや旅館の女将さんの横で、「お母さんの料理は全部おいしい!」と話すのは埼玉から嫁いで10年になる若女将。 嫁いだ当初は全てが馴染みのない新しい料理だったというが、舌で覚えた“山形の味”は、着実に次の世代へと受け継がれている。 保存技術も流通も、凄まじい速度で時代は変われど、湯田川の宿屋の食事は、何か懐かしさを掻き立てられ、冬にこそ旅情を誘われる温もりがある。
- 2022.03.04
- 庄内一の“美酒温泉街”計画
- いま湯田川は、庄内一「日本酒が美味しい温泉街」として変化を遂げようとしている。 数年前からこの実現のため、宿の社長や女将らで行う日本酒勉強会の実施に取り組んでいるのが、つかさや旅館主人の 庄司丈彦さんだ。 庄司さんが日本酒に着目したのは、山形で“土地の酒”と言えば、ビールや焼酎などではなく “日本酒”であることから、他所から訪れる温泉客らに土地のものとして提供するには、日本酒が欠かせないと考えたことがはじまりだ。 宿側のオペレーションで飲料メニューは組まれがちだが、料理だけではなく日本酒で感動する瞬間を作りたい、湯田川のように小さな宿が多いからこそできると、働きかけている。 そうは言っても、日本酒はお客さんの好みもあれば酒の個性も様々で、更には料理も引き立てなければならず、そう簡単なことではない。 この日、地酒を使った燗酒の勉強会を開くというので興味が沸き、参加させていただいた。 集まった顔ぶれの7割が、なんと女将さんや仲居さん。 女性がメインということに「おっ、これは勉強会と称した旦那衆の飲み会ではなく、本気の勉強会だな」と、実は心の中で驚き、頼もしく感じた。 講師は新潟県からお招きした松本英資氏。 この方は2014年に廃業した「美の川酒造」の元社長で、現在は日本酒浪人として広く日本酒の魅力を布教している人気講師だ。 勉強会の中身はさておき、酒を囲んだ女性たちの姿勢は真剣そのもの。 やはりお客さんの多くは地酒を楽しみ訪れる方が多く、それぞれの宿でもここ数年、地酒の提供に力を入れているとのこと。 “日本酒”の表記を“地酒”に変えただけでもお客様の興味の反応が変わったと話す。 さて、地酒とは。 山形県内には51もの酒蔵があり、そのうちの18酒蔵がここ庄内にある。 秋田県境から新潟県境まで日本海沿岸に沿って広がる庄内地方は、鳥海山をはじめ月山や金峰山などの山々の恩恵により、肥沃な大地と豊かな水で“庄内米”の産地として有名だが、当然日本酒造りにも秀でている。 その山とそこから湧き出る水の個性だけでも庄内の酒はバラエティに富んでおり、まさにテロワールと言って良いだろう。 そこへ、海に山に里にととれる四季折々の食材を、手を掛け仕立てた料理の1品1品と掛け合わせたら、この上ない幸せだ。 講習が進むほどに女性たちの会話も弾む。 「秋田の方と福島の方では、好むお酒が違うよね。」 「お勧めをください、と言われると悩むのよ。」 「自分のとこの料理の味には、どんなお酒をお勧めすればよいのか…。」 「ぬる燗、熱燗、お客様が望むその違いが、今日の勉強会でやっとわかった。」 その一つ一つに、皆が頷く。 この日の勉強会で出された料理は、隼人旅館さんの寒ダラをメインに使用した郷土料理。 寒ダラは真冬の庄内のごちそうであり、寒ダラ汁はソールフードだ。 タラの昆布締めにタラと鱈子の煮物、寒ダラ汁。 あさつきの酢味噌和えや胡麻豆腐の餡かけと、どれもこれも庄内ならではの味覚であり、しかし、それらが「どうだ!」とばかりに出てくるのではなく、とても奥ゆかしく、それがまた何とも心地よい。 最近は食事なしの宿泊プランも多いが、こんな手づくりの郷土料理をいただきながら、地酒に舌鼓を打てれば、旅に来た甲斐があるというものだ。 いつか湯田川の温泉湯で芽出しした米で湯田川温泉独自の日本酒を作りたいと、庄司さんは言う。 米も魚も野菜も酒も、煮炊きする水もすべての水は繋がっているから、土地の料理には土地の酒が合う。 日本酒は難しい。 それでもこうして着実に、湯田川は庄内一“美味しい地酒が吞める温泉街”へと突き進んでいる。
- 2021.11.30
- 旅のしおり<昼食編>
- 湯田川温泉でふらり写真を撮りながら散歩していると、『この辺りでランチをするならどこがお勧めですか?』と声を掛けられた。せっかくならこの土地ならではの食事がしたいと地元の人に聞いていたそうだ。確かに、現在、湯田川温泉にはお昼を食べることの出来るようなカフェやお食事処がないので、チェックアウトの後、どこへ向かうべきか悩む方も多いだろう。そこで今回は、鶴岡市内でランチに是非訪れていただきたいスポットを目的別に紹介していく。 【贅沢な時を過ごしたいなら】 アル・ケッチャーノ 食の都 庄内の食材を最大限に生かしたイタリアン。奥田政行シェフが、自ら庄内に暮らす生産者のもとを訪ね歩き、食材の持ち味を最大限に引き立てる料理を生み出してきた『アル・ケッチャーノ』。在来野菜の多い庄内地域で、地産地消の最高峰に出会う。我こそは美食家という方に、是非訪れていただきたい。 〒997-0341 山形県鶴岡市下山添一里塚83 0235-78-7230 http://www.alchecciano.com 蔵屋敷LUNA 見た目にも美しい和食のランチをお膳で楽しめるお店。お米、魚介、お肉、野菜、あらゆる食材にこだわりを持ち地元庄内の食材で提供していて、江戸時代の酒蔵を改装した店内は、庄内の歴史と文化を感じさせてくれる。落ち着いた空間でゆっくりと食事を楽しみたい方にぴったりなお店。 〒997-0027 山形県鶴岡市昭和町12−23 0235-22-1223 https://www.web-luna.com 【畑の味を楽しみたいなら】 知憩軒 『知憩軒』では、地元の方々が食べてきた郷土料理を食すことが出来る。そのスタイルは一汁三菜に保存食とシンプル。そのシンプルで温かみのあるお料理とここにしかない空間を求めて全国から多くの人が訪れる。使用する野菜は全てその時の旬のもの。無農薬にこだわっているので誰でも安心して食べることが出来る。鶴岡の地域に根付いた田舎料理でほっとする時間を。 〒997-0332 山形県鶴岡市西荒屋宮の根91 0235-57-2130 やさいの荘の家庭料理 菜ぁ 鶴岡市のある農家レストラン。ここでは、畑で育てた旬のお野菜を楽しむことが出来る。有機野菜、無農薬野菜にこだわった安心で美味しい新鮮なお野菜を主役としたお料理がメイン。毎日でも食べたい体に優しい家庭料理。お野菜だけでなく、お米の美味しさにも注目。特別栽培米の玄米はひと味違う味わいで、長閑な田園風景を眺めながら食す贅沢なひとときを。 〒997-0006 山形県鶴岡市福田甲41 0235-25-8694 https://www.e-naa.com 【精進料理を食べるなら】 羽黒山参籠所 斎館 羽黒山山頂にある『斎館』では、月山でとれる天然の山菜やキノコを用いた精進料理を食べることが出来る。庄内の風土と羽黒山伏の文化が漂う品々。羽黒山を訪れる際には、是非味わって頂きたい。その美味しさはもちろんのこと、貴重な体験になること間違いなし。精進料理はお肉を使用しないのでヴィーガンの方にもお勧め出来る。 〒997-0211 山形県鶴岡市羽黒町手向羽黒山33 0235-62-2357 https://hagurokanko.jp/facility/hagurosansanrousyosaikan/ 【海の幸を楽しみたいなら】 廻る金太郎寿し 鶴岡市内に2店舗を構える回転寿しの『金太郎寿し』。地元庄内浜で水揚げされた鮮魚をリーズナブルな価格で楽しめると評判で、地元でも大人気。小上がりの座敷もあるのでお子様連れでも安心して利用できる。シャリには庄内産の「ササニシキ」を使用している。新鮮な日本海の幸と庄内のお米を存分に楽しめる。 <新斎店> 〒997-0045 山形県鶴岡市西新斎町1−8 0235-25-4441 <城南店> 〒997-0814 山形県鶴岡市城南町6−51 0235-23-4483 魚匠ダイニング 沖海月 加茂水族館の中にある『魚匠ダイニング 沖海月』はハモやフグなど、クオリティの高い食材を使用した料理を比較的低価格で楽しむことが出来ると人気のお食事処だ。クラゲラーメンやクラゲタピオカなど、加茂水族館ならではのメニューも充実している。加茂水族館に訪れるなら、是非『沖海月』にも立ち寄ることをお勧めする。 〒997-1206 山形県鶴岡市今泉大久保657−1 鶴岡市立加茂水族館内 0235-33-3036 https://kamo-kurage.jp/restaurant/ 今回、紹介したお店は鶴岡市内にあるお勧めの飲食店のほんの一部だ。ユネスコ食文化創造都市にも認定された鶴岡は食の宝庫で、美味しい食材が沢山あり、飲食店のレベルも高いように感じる。食事は旅先での醍醐味。そのひとつひとつが良い思い出になるよう願っている。
- 2021.11.28
- 焼とり ひで
- 『焼とり ひで』は湯田川温泉にある唯一の居酒屋であり、およそ70年もの歴史を持つ名店だ。昔懐かしい雰囲気の店内で、陽気な店主とのお喋りを楽しむ。そんな時を過ごすのもまた旅の醍醐味。湯田川温泉に連泊するなら一晩はふらりと出かけてみるのも楽しいだろう。 まずはビールで乾杯。趣のある店内にKIRINの瓶ビールが似合う。メニューは豚のホルモンなど焼きトンが中心だ。遠方から訪れた方は驚くかもしれないが、庄内では焼きとんのことを焼きとりという文化がある。メニューには、つくね、タン、ハラミなど親しみ深いものから、ヘラ、テッポウなど通好みの部位まで幅広く用意されている本格派。 大ぶりのお肉は柔らかくてジューシーで、そのレベルの高さはひと口食べてすぐにわかる。それでいて観光地とは思えないリーズナブルな価格設定。地元にはたくさんのファンがいる人気店で、焼き鳥の味は鶴岡市で一二を争うほどだと評判だ。仕事を終えた湯田川の宿のご主人とばったり、なんてこともあるかもしれない。ふっくらとして柔らかいつくねはタレも塩も捨てがたい。 昭和27年に湯田川地区でリヤカーに焼きとりを並べ販売したのが『焼とり ひで』の始まり。現在の場所に店舗を構えてからしばらくは、『焼き鳥ひろみ』と『BAR Hide』の2店舗で営業されていたという。貴重な当時のマッチを見せていただく。現在の店主、秀人さんは以前バーテンダーであったというから驚きだ。 焼きとりと庄内の日本酒で至福の時間。厚揚げやししゃもなどの居酒屋メニューが充実しているのも嬉しい。温泉に浸かった後の身体はぽかぽかとして、いつもよりなんだかいい気分に。すこし飲み過ぎたとしても、宿までは歩いてすぐに帰れる距離だから気持ちが緩んでリラックスモード。 カウンターには店主とのお話しを楽しむ人、テレビを見ながらひとりで味わう人、若いカップルの姿も。お座敷もあるので家族連れでも安心だ。隠れた名物のジャガピざは子供達にも大人気。おにぎりや麦きりも締めに欠かせない。(麦きりとは庄内の人が好んで食べる細くて平たいうどんのことで、さっぱりして締めにもぴったりなので是非試して頂きたい。) 満たされた気分で温泉街に出ると、暖かく光る提灯が見送ってくれた。『焼とり ひで』で過ごす夜。これもまた最高な湯田川温泉の過ごし方のひとつだ。