未来の世を表す山 湯殿山
日本有数のパワースポットである出羽三山は、羽黒山、月山、湯殿山の総称であり、古くからこの3つを巡ることで大変なご利益があると言われている。と、よく知ったように書いてみたものの、鶴岡に越してくるまで山とは無縁の生活を送ってきた私が、急に出羽三山のご利益について話すのは少々無理があるだろう。正直に申し上げると、「パワースポット」や「ご利益」という言葉については、なんとなく信じている程度で、信仰心や具体的に説明出来る程の経験はない。
それでも、せっかく庄内に来たならご挨拶をしておこうという気持ちでこの3つの山を度々訪れては少しずつ理解を深めているところだ。
出羽三山のうち羽黒山は現在、月山は過去、湯殿山は未来を表していると言われ、この三つの山を巡ることは「生まれ変わりの旅」と言われている。3つの山は連なり、羽黒山は414m、月山は1984m、湯殿山は1504mとそれぞれ高さが違うので、離れてみるとどこか三兄弟のようで温かみがある。
私のような者であっても、これらの山に入る時、広大な自然に身を委ねることで自身のちっぽけさに気付かされ、草木の強さに圧倒され、川のせせらぎに心洗われ、そして市街地とは異なる新鮮な美しい空気に触れることで内側から生まれ変わるような気持ちになることを確かに実感している。
今回テーマにした湯殿山にはこれまでに2度訪れたが、「語るなかれ」「聞くなかれ」と言われ、文章中は勿論のこと、人に話すことも禁止され多くを語ることは決して許されない。ここで見たものについては胸に秘めておくことにして、旅のインフォメーションについて書いていく。
湯殿山神社を参拝する際には、まず目的地に『湯殿山神社大鳥居』をセットし、鳥居横の駐車場を目指す。湯田川温泉からは約45分程度の道のりで、そこからは参拝バスに乗り換えて本宮へ向かうことになる。参拝バスの運行本数に限りがあるので、観光として訪れるならば所要時間は1時間半〜2時間くらいみておくと良いだろう。
バスを降りてから本宮までは徒歩5分の道のりだが、坂道なのでスニーカーが望ましい。そして参拝の際には、履物を脱ぎ裸足になるので、足を拭くためのタオル等を持っていくことをお勧めする。少ない情報ではあるが、私が書けることはこの程度である。
旅をするなら、その土地にしかないものに出会いたいと望むものだ。湯殿山に行けば、日本全国どこを探してもここにしかない経験が出来ることは間違いないだろう。「語るなかれ」「聞くなかれ」の湯殿山。この現代で、インターネット上にこれといった情報が落ちていないことはむしろ貴重である。ヴェールに包まれた神秘性、それが湯殿山の魅力なのだ。
- ・投稿者の名前:
- すずき まき
- ・プロフィール:
- 写真家。2020年、生まれ育った横浜市から鶴岡市にiターン移住。 温泉と猫をこよなく愛している。
- ・SNSやホームページへのリンク系:
- https://www.instagram.com/maki.suzu.ki/