湯田川の夜。郷土料理でおもてなし
12月と1月のとある日、湯田川温泉で2泊3日のモニターツアーを開催しました。2日目は旅館にてオフサイトミーティングを行ったあと、地域のお母さんたちがつくる郷土料理を振る舞い、おもてなしいたしました。地域の人々の生活や食文化を感じられるお料理の数々は、どこか懐かしくほっこりと落ち着くような味わいで、ここにしかない美味しさがあります。そんな郷土料理をたのしむ夜の様子を、レポートさせていただきます。
まずは、つかさや旅館の厨房にて下ごしらえ。
提供した郷土料理は、庄内の食材をふんだんに使用した以下のメニューです。
・「からとり芋」の芋煮
・「孟宗」の煮物
・「庄内柿」と人参の白和え
・「庄内柿」と「孟宗」のマリネ
・ごま豆腐の餡かけ
・大根葉のけんちん
・大根漬けのけんちん
・大根皮のきんぴら
・いとこ煮
・鮭の焼き物
・はららごご飯
経験で培われた手際の良さで、次々と仕上がる料理の数々。
料理をつくったのは、湯田川地区に住むお母さんたち。
ごま豆腐の餡かけ。出来立ての餡から湯気がのぼる。
お母さんたちからつくり方を教わる、つかさや旅館の女将 かなえさん。
湯田川温泉の共同浴場から歩いて3分ほどの場所に、かつて多楽福亭(たらふくてい)という、地域で愛される定食屋がありました。その跡地を改装し、新たに人々が集う場所として活用しています。あたりが暗くなった頃、ミーティングを終え、参加者の皆さまが続々と集まってきました。
カウンターにずらりと並ぶ、郷土料理。和食割烹のような雰囲気です。
好きなものを、好きなだけ。どうぞ召し上がれ。
お料理をつくって提供するまでをお母さんたちが一貫して行いました。
お料理はビュッフェ形式でお出ししました。
お母さんたちはカウンター内でコミュニケーションをとりながら、「これは、どんなお料理なの?」といった質問に答えるシーンも。提供した食材と、お料理の一部を紹介していきます。
湯田川の隣にある、藤沢地区で焼畑栽培によりつくられる在来作物の「藤沢かぶ」。10〜15cmほどの細長いかぶで、上は鮮やかなピンク色、下は白色をしています。薄皮で生で食すことができ、パリっとした食感と爽やかな辛味が特徴です。
山形の郷土料理を代表する「芋煮」。今回は、庄内に伝わる里芋の一種で、ぬめりがなくほくほくとした食感が特徴の「からとり芋」を使用しました。庄内地方の芋煮は、豚肉を使用する味噌ベースの味付け。だんだん寒くなる季節にうれしいお料理です。
理太夫旅館の女将がつくった「いとこ煮」。かぼちゃと小豆でつくるのが一般的ですが、庄内では小豆と餅米を炊いてつくります。
すぐ裏手の竹林でとれるたけのこ「湯田川孟宗」。5月中旬に旬を迎え、その柔らかさと風味が評判。水煮缶として保存し、一年を通して提供しています。
庄内では、いくらを「はららご」といいます。庄内地方では、秋口から薄皮が付いたままの「はららご」が魚屋さんなどにならび、粒ひとつひとつを丁寧にほぐして漬け込みます。真っ白なご飯に「はららご」をたっぷりとかけていただく、贅沢な「はららご飯」。
番外編。九兵衛旅館から巻物の差し入れ。調理長は、酒田にある老舗の寿司店で経験を積んだのだとか。
湯田川温泉が位置する山形県鶴岡市は、ユネスコ食文化創造都市に認定され、その食文化は古くから大切に受け継がれてきました。一面に広がる庄内平野の農作物や、日本海の海の幸に恵まれ、さらに月山・羽黒山・湯殿山からなる出羽三山からは、山の幸をつかった精進料理が伝統食として人々の暮らしに伝わっています。提供するお料理には、そんな独自の食文化が反映されています。
郷土料理の基本はこの土地でとれる旬の食材を生かしてつくる地産地消。湯田川にきてくださる方々には、地のものを食べて、地のお湯に浸かり、土地のパワーを蓄えて、明日への活力に変えてもらえたら…。どれも素材の味を生かしたシンプルなお料理なので、消化に負担をかけず、湯治滞在の際にもおすすめできます。
「こんなお店があったらいいな」とのお声もいただきました。
郷土料理と、庄内の地酒をたのしむ夜。
ご参加の皆さまにご好評いただき、無事に終了しました。
先人たちの知恵と、土地の恵みがぎゅっと詰まった郷土料理。地域の人々にとっては慣れ親しんだ味でも、外からいらした方々には新鮮に感じていただけることを実感する機会になりました。
- ・投稿者の名前:
- 湯田川温泉観光協会
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- 湯田川に住み、湯田川を愛している旅館の仲間たち
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